16 世紀の一人の宣教師の声に耳を傾けて
Girardo Rodriguez
神学部教授会

神学部教授会
Girardo Rodriguez

16 世紀の一人の宣教師の声に耳を傾けて

授業ではアメリカ大陸のキリスト教史を触れたとき、バルトロメ・デ・ラス・カサスと
1 チョン・ジュジン『世界の平和、私の平和』大韓基督教書会、2012 年、16 頁。 12

いう人物を紹介したことがあります。ラス・カサスは 16 世紀のスペインの宣教師としてヨ ーロッパ人の征服者と一緒に新大陸に渡ったが、先住民に対するヨーロッパの入植者によ る不正を彼が非難しました。キリスト教の観点から主張して、ラス・カサスは先住民の権 利を守るために尽力した。入植者は先住民を「文明化」する使命を持っていると言いなが ら、実際のところ先住民を苦しめていました。ラス・カサスはその入植者の偽善を強く批 判した。
ドミニコ会員であったラス・カサスは、神学の学問や祈り生活や伝道活動を大切にして いましたが、そのよう信仰の側面にとどまらず、先住民が直面していた諸問題の解決を求 めて、広く活躍しました。例えば、先住民とヨーロッパ人が共に暮らす共同体を実験した り、スペインに戻って学者や政治家と論争したり、書物を執筆したりしました。 その書物の中では、先住民とヨーロッパ人の行動が対比され、善と悪の戦いにたとえられ ています。そのような二元論的な描き方が批判されることもありますが、あくまでも比喩 として読むことができます。
今日の世界を見渡すと、戦争や政治紛争により、多くの人々が暴力や権力の乱用の犠牲 になっています。しかし、平和な社会であっても、パワハラや心理的イジメによって個人 の尊厳が踏みにじられ、人間関係の巧妙な手段を使って周りの人によって犯されている 人々がいます。
二元論的な見方に注意しながら、小さな行動においても私たちは人間関係のなかで常に 善と悪のどちらかを選択しますから、ラス・カサスの声は今日でも、キリスト者として他 人への接し方に警告しています。

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