神学寮での学び・・・
神学寮寮長 石原誠

神学寮寮長:石原誠

西南学院大学神学部の神学生は、今現在単身寮に 4 名、家族寮に 1 家族の計 5 人の神学生 が入寮しています。家族寮には神学生家族以外にも、「寮生の生活指導及び寮全般の監督 にあたるもの」2という規定のもと“寮監”として金丸英子先生も寮生活を共にしてくださっ ています。また海外から来られた先生方もこの家族寮で滞在されます。
私たち神学生は、それぞれ主からの召命があり、教会から推薦され、西南学院大学神学 部の試験、面接を通過して神学生になったわけですが、この過程の中で、「召命」と「教 会の推薦」というのが極めて大切だという事を、私は一年半寮生活をしてきて、そして、 今寮長という役割を担わせて頂く中で特に思わされています。なぜなら神学生は、学校で の学問としての学びだけではなく、生活の全てにおいて、牧者としての学びが求められて いるように思うからです。
「生活の全て」と一纏めに一言で表現しましたが、この学びは突き詰めれば突き詰める 程、難しいところがあります。それは誰かが教えてくれるわけではなく、神学生一人ひと りの自覚的な牧者へと向かう姿勢が問われるからです。神学寮で他の神学生と共に生活を していると、生活スタイルの違いや、他者との関わり方の違い、それぞれの個性など、 様々な部分が露骨に見えてきます。その中で将来の牧者である私たち神学生は、その一つ一つの事柄にどのように向き合っていくのか、その様な事をこの寮生活の中でトレーニン グされ、鍛えられていくのだと思わされるのです。しかもそれは毎日続く日常のことで、 連続性のある試練で、人によっては逃げ場がない状況になるかもしれません。
しかし、そのような時に支えになるのが、たとえ辛くとも、この道は主が与えてくださ ったものであるという確信です。そして、推薦教会、研修教会、全国諸教会の皆さんの祈 りによる励まし。これらによって神学生の心は奮起され、み心を追い求め、祈り、喜んで 日々を過ごすことが出来るようになるのではないかと思うのです。少なくとも私はその様 に信じております。
生活の全てを通して学ぶという事でありますが、神学寮では《神学寮の目的と入寮資 格》という規定があります。「寮生は、将来牧師、伝道者として献身するにふさわしい者 として、諸教会・伝道所より推薦を受け、かつ、神学部教授会において入寮を許可された 学生に限ります。また、日本バプテスト連盟に加盟する教会から推薦された神学生は、原 則として必ず入寮することになっています。
寮生活は、神学部の教育の延長であり、共同生活を通して福音宣教のための働き人とし てふさわしい品性と知性を培うことを目的としています。(参照:西南学院大学神学寮規 定→別紙)」3 ここに記されているように、神学生は寮生活を通して、福音宣教のための働き人としてふ さわしい品性と知性を培っていかなければならず、神学寮はそういう場でなければならな いという事が、通常の学生寮とは大きく違う点だと私は思っております。
さてここまで観念的なお話でしたが、ここからは私から見た神学寮生活についてご紹介いたします。

まず一番の特徴は、大学の授業期間中、火曜日から金曜日は 毎朝 7:30 から寮礼拝を行う事ではないでしょうか。寮礼拝では 司会を輪番で回し、お祈りからスタートして、聖書教育の聖書 日課の箇所をみんなで一節ずつ朗読します。その後、改めてそ の箇所を噛みしめるように黙想をし、次に「協力伝道カレンダ ー」に記載されている教会の事や、それぞれの祈りの課題を共 有し、その事を覚え祈る時間を持つのです。最後は全員で「主 の祈り」をし、学びへと向かう心備えをするというのが、今の 寮礼拝のスタイルとなっています。コロナの影響もあって、今 はこの様なスタイルになっていますが、その時々の状況に合わ せた形で寮礼拝を継続しております。

また神学寮には、ゼミ室、寮監室というのがあります。そこ には神学書が並べられており、その資料を使用して調べものを します。そして、ここにある資料は全国のバプテスト連盟に連なる教会の牧師の方々が献 本してくださったものも多くあります。この様な形でも私たち神学生の学びをサポートし てくださっている事に、本当に有難く感謝な思いであります。ゼミ室の隣にはコピー室が

あり、神学部や神学寮に関わることはここで印刷をします。また、スキャナーもあるので、 借りた資料などはここでスキャンする事も出来るのです。

そして食事に関してなのですが、授業期間中、月曜日から土曜日までの朝夕は食事提供 があります。寮母さん寮父さんが毎日準備してくださいます。とても美味しくてボリュー ムもあるので、意識して自己管理しないと、気付かないうちに体重が増えていて、驚く時 があります。特に私の場合は神学生となって机に向かう時間が多くなり、逆に身体を動か すことが極端に減ったという事もあるようです。ですので、意識的に体を動かし、健康管 理をしっかりとしなければいけないと思わされる今日この頃であります。これから牧会の 現場に出る私たちにとって、セルフケアは大切な事の一つだと思わされるのです。

この様な神学寮ですが、健全な運営の為、そして神学生一人ひとりが勉学にふさわしい 環境を自主的に作り上げ、維持してく為に「寮生会」という自治組織があります。これは 神学寮で生活する神学生による自治組織で、毎月 1 回寮生会を開催しているのです。そこ で神学寮での生活、献身者としての生活を、よりみ心に沿った良いものとなるように、話 し合い、意見交換をし、神学寮の改善を図っているのです。

西南学院大学神学部の神学生の学びは、学校での学びは勿論のこと、神学寮と研修教会、 三つの学びを併せ持って「キリスト教伝道者養成」を成していると私は考えています。で すので、ここでの神学寮での生活も学びの一端としてなくてはならないものであります。 それらの学びを経て、それで十分という事はありませんが、人々の喜びだけでなく、痛み や苦しみにも触れ、「すべての造られた人々に福音 を宣べ伝えなさい」というイエス・キリストに従順 な牧者となっていくことが出来るのではないかと思うのです。

冒頭にも記した通り、現在神学生は5人です。今は少ないですが、これからまた増える時が来ると、 信じて祈っております。是非この祈りを皆さまの祈 りに合わせて頂けますと感謝です。また引き続き、神学校や神学生の事を覚えて祈り、お 支え頂けます事を、心から感謝いたします。

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