「共に、平和」
2019 年に沖縄で第 1 回青年平和学校が開催された後、新型コロナウィルスの影響で延期
を繰り返し、4 年後の 2023 年に第 2 回目を開催することになりました。全世界的に発生し たコロナは、これまで人類が花開いたと自負してきた文明に深刻な問いを投げかけました。 無限生産と資本の利益だけを追求する資本主義と人間中心の科学技術主義に対する問いか けは、人間と自然の生活と存在の意味について、根本的に考え直させられました。一方で は、人間と自然を分ける西洋式の二項対立的思考から、人間と自然が共存するより大きく 宇宙的な生態系の平和を議論し、新しい未来を追求するようになりました。
自然はもはや、科学研究の対象としてのみ存在したり、人間社会の発展のための征服と 搾取の対象ではなく、人間と共に生きる「私-あなた」の隣人である生命共同体だと自覚し たのです。 生態系の生命を尊重し、自然と共に生きる(living together)平和を実現しなけれ ば、私たちは今後、コロナよりも大きなパンデミックを経験することになるでしょう。
このように新型コロナ 19 が私たちに与えた教訓を思い起こしながら、第 2 回アジア青年 平和学校をチェジュ島カンジョン村で開催したことは、もう一つの特別な意味を与えてい ます。ここカンジョン村は、住民と平和団体の強い反対にもかかわらず、政府と軍が建設 を強行し、2016 年に海軍基地が建設され、平和の島、チェジュ島が東アジアの平和を脅か し、軍事的緊張が高まっている場所となりました。海軍基地が建設された時、クロムビ岩 が破壊され、海の中の生物が化学爆発物によって一瞬にして死んでしまいました。 人間の 利己心と欲望のために生態系は一朝一夕に破壊され、戦争訓練が絶えない場所となりまし た。 そのため、チェジュカンジョン村に建設された海軍基地は自然の生命を破壊し、東ア ジア地域の安全と平和を壊す反平和の象徴です。したがって、コロナ時代からついに抜け 出せた時点において、ここで第 2 回平和学校を開催したことは、多次元的な平和の意味と 必要性を思い出させてくれます。同時に、私たちは質問を投げかけます。
どうすれば私たちは平和な世界を作れるだろうか?
平和に関連して、平和を作る(peacemaking)、平和を守る(peacekeeping)、平和を築 く(peacebuilding)という言葉があります。
「『平和を作る』とは、戦争、争い、分裂、葛藤など、平和が壊れた状況を終わらせ、 再び平和を作るという意味です。…『平和を守る』とは、再び作られた平和が壊れないようにしっかり守ることを意味します。…『平和を築く』とは、平和の土台を強固にし、人々の関係を変化させるための総合的な努力を意味します。」1 私たちは平和を作る人、平和を守る人、平和を築く人にならなければなりません。 ここ
で共通しているのは<私たち>ということです。平和は政府や国が与えるものではなく、 民である私たちが作らなければなりません。平和を作り、平和を守り、平和を築くことは 私たち自身がしなければならないことです。
それぞれの国で、それぞれの住んでいる地域で、それぞれのいる生活の場で平和のため に働き、同時に私たちは地理的な国境を超え、文化と言語を超え、人種を超え、宗教を超 え、共通の目標であり課題である平和のために共に連帯し、実践しなければなりません。 私一人だけでなく、共に働くというグローバルな連帯意識を持って、民が中心となる平和 運動を展開しなければなりません。民である私たちは、貧しい者、社会的弱者の人権と正 義のために闘い、福島発電所の汚染水放出に反対するなど、生命と平和のための国際的な 連帯をしなければなりません。
この 4 年間は決して短い時間ではありませんでした。しかし、私たちはお互いを忘れて はいません。今こそ、平和なる世界に向けてさらに遠くを見据え、沖縄から始まった歩み を新たに整える時です。止められない私たちの平和の行進は、沖縄とチェジュを経て、東 アジアに進み、ついに世界へと広がっていくでしょう。一人が十歩を歩くより、十人が一 歩を歩く平和学校の歩みに、皆さんが参加し続けることを願っています。
最後に、今回のプログラムのために最初から共に計画し、準備してくださった<東アジ ア平和センター・福岡>の理事会、キム・ジョンヒ平和宣教師、そしてソン・ガンホ博士 と『開拓者たち』のスタッフの方々に心から感謝申し上げます。
**この文は第 2 回アジア青年平和学校(済州、韓国/2023 年 8 月 15 日-18 日)で行った閉会 のことばである。